お家でシャンプーを済ませたい!ペットのシャンプーの基本

実はペットのシャンプーをおうちで済ませているというご家庭が増えています。

その理由はトリミング料金が高いから、トリミングの予約がなかなか取れないから、実際に自分で洗ってみたら、意外に簡単だったからなど色々です。

でも中には気になっているものの、まだ自分では挑戦してみたことがないという方もいるでしょう。

今回はお家でシャンプーを済ませるための基本的な方法と注意点について詳しくご説明させていただきます。

■お家シャンプーのメリットとデメリット

おうちでシャンプーをすることに飼い主同士でも意見が分かれるものです。

なぜ意見が分かれてしまうのかというと、お家シャンプーにはメリットとデメリットの両方があるからです。

お家シャンプーのメリットは

 

・トリミング料金が節約できる

・トリミングサロンへの送迎の手間が省ける

・家族がシャンプーをすることで余計な不安を抱かずに済む

・愛犬に安心して過ごしてもらえる

・汚れが気になる時にいつでも洗って、清潔にしておくことができる

 

などがあります。

家族にとってメリットは本当にたくさんあります。

特にチワワやダックスの様に定期的なカットが必要のない犬種であれば、一回数千円と高額なトリミングサロンの料金を節約できることは大きなメリットといえます。

ただ犬のお手入れは、シャンプー以外に

 

・爪切り

・耳掃除

・足裏や足回りの被毛のカット

・肛門腺絞り

 

が毎月定期的に必要です。

トリミングサロンではシャンプーと同時にこれらのお手入れを全て済ませてくれているので、お家でシャンプーをするときも家族がきちんとシャンプー以外のお手入れも済ませておきましょう。

お家シャンプーのデメリットは

 

・被毛の洗いのこし、乾かし残しが生じる

・抜け毛が家中に飛び散ってしまう

・愛犬が暴れる

・洗う前よりも毛玉やもつれが酷くなった

 

などがあげられます。

一見簡単に思えるペットのシャンプーですが、プロとして仕事にする人がいるということは、特別な技術や経験が必要とされるということでもあります。

特にプードルやシーズーのように定期的なカットを必要とする犬種の場合、誤った方法でシャンプーをすることで、かえって毛玉やもつれが酷くなることも珍しくありません。

お家でシャンプーをするときは、基本的な手順にそって丁寧に進めてゆきましょう。

 

■ペットのシャンプーの基本的な手順

お家でシャンプーをする場合でもトリミングサロンへシャンプーを依頼する場合でも犬を洗うことでの基本的な手順に違いはありません。

お家シャンプーを少しでも手際よく、完成度高く仕上げるためにもぜひ、トリミングサロンのシャンプーの手順を真似てみてください。

基本的なシャンプーの手順は

  • ①体、被毛が乾いた状態で全身をブラッシングする

この時点で毛玉やもつれはすべて取り除く、コーム(平櫛)がスムーズに通ることが理想的です。

抜け毛が多い時は特に念入りにこのブラッシングを済ませてください。

  • ②シャワーで全身を湿らせます

湿らせる手順は背中、お腹、足先、尾と進めて内股や下腹部までしっかりと水流を行き届かせます。

頭部、顔が濡れると犬は不快に感じ嫌がるので、頭部や顔は最後にシャワーで湿らせましょう。

  • ③シャンプーを全身に塗布し、皮膚、被毛の根元を洗う要領で泡立てます。
  •  
  • シャンプー を塗布する手順はシャワーで湿らせた手順と同じです。

首回り、尻尾の付け根、耳の内側などは特に汚れがたまりやすいのでしっかりと洗い上げます。

④最後に頭部、顔周りに泡をつけます。

柴犬や短毛種はなかなかシャンプーが被毛に馴染みにくいので、シャンプー剤をあらかじめお湯で希釈し、全身にかけ流すとスムーズに全身に行き届かせることができます。

すすぎのシャワーは体の高い位置から低い位置へ自然とお湯が流れ落ちるように進めてゆきます。

まず頭部、顔、耳周りをしっかりと洗い流し、次に背中、腹、尾、内股、足先へとシャワーを流しかけてゆきます。

※シャワーを使用する時、シャワーヘッドを犬の体に密着させるように移動させると、水しぶきが飛びません。犬が水しぶきを苦手と感じているので、この方法で手早く、スムーズにシャワーを終えてゆきましょう。

⑤全身のシャワーをすすぎ終えたら、タオルドライでシャンプーの工程が完了します。

シャワーが終わった途端に犬が身震いをして、水滴を吹き飛ばしますが、この身震いのおかげで大半の水分を取り除くことができるので、制御せず思い切り身震いをさせてください。

■シャンプー所要時間の目安

実は多くの方が間違えがちな工程の1つにシャンプーの所要時間があります。

犬の健康や安全を考えた場合、

 

・小型犬 5分以内

・中型犬 10分以内

・大型犬 15分以内

 

にシャワーで湿らせる工程からシャンプー、すすぎまでを完了させるように心がけてください。

犬にとって全身が湿っていることは決して快適ではありません。長時間シャンプーをする、同じ姿勢で立たせ続けることは過度な疲労やストレスにつながります。

犬用シャンプーは非常に手際よく汚れが落ちるように工夫されているので、出来る限り短時間で終えましょう。

犬の足裏を水で塞ぐ方法は大変危険です

人間にとってお風呂の快適な過ごし方といえば、適温の拾い湯舟にゆったり使ったり、温泉を満喫することです。

疲れが取れてリラックスできる至福の時間ですから、ぜひ愛犬にも同じ様にリラックスして欲しいと思うのも当然です。

でも犬と人間とでは体の構造がまるで違っています。

人間の汗腺が全身にあることに比べ、犬の汗腺は足裏ににしかありません。

愛犬を浴槽や湯舟に入れ、入浴をさせる方法は、汗腺を全て水で塞いでしまうことになります。

温かいお湯と浴室の湿気で愛犬の体温は上がっているものの、汗を発散することができなければ、ますます体温や心拍数が上がり、次第に息苦しさを感じたり、体がぐったりすると実感しています。

湯舟の中で大人しくしている愛犬は人間のようにリラックスしているのではなく、体の力が抜け、負担がかかっているにすぎません。

トリミングサロンでも同様のサービスは提供されていますが、トリミングサロンでは所要時間はもちろん湯音や前後の犬の様子などを丁寧に管理したうえで行っています。

お家シャンプーの時に見様見真似で同じ様な行為を行うことは大変危険です。

お家で愛犬を洗う時は必ずシャワーを使用し、愛犬の足元にお湯がたまらないよう注意してください。

■タオルドライで水分を取り除く

お家シャンプーで一番苦労すると多くの飼い主さんが言っているのはドライヤーです。

ドライヤーが想像以上に大変だったからという理由で、お家シャンプーを諦め、トリミングサロンを利用する方もいるほどです。

特に中大型犬や長毛犬種のドライヤーは想像以上の苦労と手間暇がかかります。

このドライヤーを少しでも短時間に終えるためには

 

・タオルドライをしっかりと済ませる

・扇風機を同時使う

 

という方法がおすすめです。

犬の被毛は、頭から背中に向けて寝そべるように生えています。

この被毛の根元に水分が残っていると、ドライヤーを使っても熱風が被毛の根元まで届かず、いつまでたっても乾かない、湿った感触がすると感じます。

シャンプーが終わり、タオルドライをするときは

 

・被毛の根元に残った水分を吸収する

・被毛表面ではなく被毛の根元を拭き上げる要領で

・被毛が生えている向きに逆らうように撫でながら、タオルで水分を拭き取る

 

という点がポイントです。

さらに高吸収タオルや洗車などに使用する特殊繊維製のタオルなどを活用すると、より一層確実に水分を取り除くことができるのでオススメです。

このタオルドライがいかに完成度が高いかで、その後のドライヤー所要時間が大きく変わります。

タオルドライをするときは

 

・首回り

・顎から胸にかけて

・下腹

・内股

・尾

・足先

 

など水分が残りやすい箇所もしっかりと拭きとりましょう。

足元に乾いたタオルを1枚敷いておくと、上部から垂れた水分を吸収してくれるので効率的です。

タオルドライの最中に愛犬が全身を身震いする時は、決して中断させずに思い切り体を振ってもらいましょう。

実はこの身震いを数回繰り返してもらうだけで、被毛の奥に入り込んでしまっていた水分の大半を吹き飛ばすことができます。

もちろん愛犬の身震いで家族はびしょ濡れになってしまうことは避けられませんが、ドライヤーの手間を軽減するためと思って愛犬に任せてみてください。

犬は身震いをする直前に必ず全身を動きを全てとめて硬直する瞬間があります。この瞬間に家族はさっとタオルなどを被り、水しぶきをから身を守っておいてください。

■ドライヤーは熱中症の危険があるので短時間に

実はお家シャンプーで一番危険といわれているのがドライヤーです。

トリミングサロンでは業務用の大型ドライヤーを使用するので、小型犬であれば15分もあれば完全に乾かすことができます。

犬の被毛は密集しているので、家庭にあるドライヤーではトリミングサロンに比べ2倍、3倍もの時間がかかるでしょう。

もちろん乾かす時のテクニックもプロトリマーと家族とでは大きな違いがあるのでドライヤーに時間がかかってしまうのは仕方がありません。

でも犬にとって長時間のドライヤーが危険だということは忘れずにおいてください。

すでにシャンプーを済ませている状態の犬は、シャワーの温度や浴室の湿気、緊張で血流が促進され、心拍数が上がっています。

タオルドライが終わった時点で

 

・短く浅い呼吸を繰り返している

・舌がダランと垂れている

・大きく口を開け呼吸をしている

 

このような様子が見られる場合は、体温が上がり、息苦しさを感じているサインです。

この状態のままでドライヤーを始めてしまうと、ますます体温が上昇し、体に大きな負担がかかってしまい危険です。

ドライヤーを始める前に、愛犬の様子をしっかりと確認しておくことが大切です。

ドライヤーを始めた後も、愛犬の様子を確認しながら、

 

・休憩をさせる

・風通しのいい場所でドライヤーを行う

・冷風でドライヤーを使用する

・愛犬の体からドライヤーを出来る限り遠ざけ使用する

・タオルを同時に使用し、水分を取り除く

 

などの方法を意識しておいてください。

ただし生乾きのままでドライヤーを終えてしまうと、せっかくのシャンプーが台無しになってしまうので、しっかりと被毛の根元から乾燥させることは忘れずに置きましょう。

■生乾きは皮膚トラブルや悪臭の元

せっかく洗ったのに、数日もすれば特有の不快な臭いが気になることもあります。

これはシャンプーの時の洗い残しやドライヤー中の生乾きが原因です。

犬の被毛は湿り毛を帯びると、周りの被毛と絡まり合いフェルトの様な塊になります。

この塊ができると皮膚や被毛の通気性は低下し、雑菌の増殖も進みます。

シャンプーの時に十分に汚れを落としきれていないと、雑菌を相まってほんの数日でシャンプー前よりも不衛生な状態に陥ります。

特に柴犬など短毛種の場合、被毛が短いからドライヤーは不要と思われてしまうことも少なくありません。

でも柴犬のような短毛種は被毛が2層構造になっていて、下毛と呼ばれる短い被毛はまるで綿の繊維の様に密集して生えています。

この下毛に湿り気が残ったままで放置してしまうと、すぐに悪臭が発生します。

お家でシャンプーをするときは、どんな犬種であっても必ずドライヤーを行い、全身どの部位を触っても湿り気を感じないように乾燥させてください。

ドライヤーが苦手な場合はタオルドライを同時に行い、出来る限り体に水分が残らないよう心がけましょう。

■お家シャンプーの目安は月に1回

実際に洗ってみると意外に簡単に洗えるうえに、愛犬もすんなりと受け入れてくれてこれからはいつでも気軽に洗えると安心できますね。

でも犬の皮膚は人間の赤ちゃんの皮膚よりも薄くデリケートな構造をしているので、お家でのシャンプーの回数は月に1回程度に抑えておきましょう。

毎日、週に1回などとたびたびシャンプーをすると、犬の皮膚に本来あるべき皮脂が洗い流されてしまって、乾燥肌やフケ、かゆみが起こる原因になります。

汚れや毛玉、もつれが気になる時は、水のいらないシャンプーやブラッシングスプレーを使ったブラッシングで済ませ、シャワーを使い洗う回数は控えめにと覚えておいてください。