ちょっと待って!!動物看護士が教える猫を飼う前に知っておきたい猫の事

猫人気が高まり、猫の魅力に惹き付けられる人も多いですよね。

拾ったり、譲渡されたりと簡単に手に入ってしまい、飼い始める人もいると思います。

でもちょっと待ってください!

世話が簡単で飼いやすいと言われている猫ですが、大変なこと、苦労することもたくさんあります!

それを知ってから、本当に飼うことができるのか考えてみてください。

 

お世話編

まずはおうちに迎えてから、おうちでのお世話で大変なことを挙げていきます。

散歩に行かなくて良いことや、トイレを自分で覚えてくれるなど、犬と比べると手間がかからず楽だと言われていますが、実際はどうなのかみてみましょう。

 

性格

猫は、気分屋です。

自分が触ってほしい、かまってほしい時は寄ってきますが、それ以外は触らせてくれなかったり、姿が見えなかったり、かなりのツンデレです。

犬のように、無条件に尻尾を振って寄っては来てくれません。(そういうタイプの猫もたまにいますが…)過度なスキンシップを嫌う子もいるので、犬のようにベッタリしたスキンシップを好む人には猫は向いていないかもしれません。

また猫には歯の他にも爪という強力な武器があるので、アグレッシブな猫だと、猫パンチで手から流血!なんてことも日常茶飯事です。

 

抜け毛

ご存知の方も多いかもしれませんが、猫の抜け毛は犬に比べると多いです。

短毛の子であっても、あらゆるところに毛がついてしまいます。

春と秋の換毛期は特に生え変わりで、大量の毛が抜けます。

長毛の子であれば綺麗な被毛を健康に保つために、毎日2回ブラッシングが必要になることもあります。

ブラッシングを嫌う子もいるので、小さい時から毎日少しずつ慣れさせていく必要があります。

また、黒色の服や冬場のコートは、素材によっては毛がかなり目立つので、お出掛け前に粘着テープで綺麗にする必要があります。

家中毛だらけになってしまうので、こまめにお掃除もしなければなりません。

 

トイレ

自分でトイレの場所を覚えてくれて、しつけなくていいので楽で簡単ですよね。

しかし、トイレの種類もたくさんあり、猫砂と呼ばれるトイレに入れるものも砂や木のチップ、新聞紙など色々なタイプがあります。

また、綺麗好きな子だと汚れた砂ではトイレをしないこともあるので、砂をこまめに替えてあげる必要があり、猫砂代もかかります。

砂も数kg単位で販売されているので、購入して持って帰るのも一苦労です。

さらに、トイレが終わると排泄物に砂をかけたり、出てくるときに足に付いている砂を振り払ったりするので、トイレの周りに砂が散らばっていることもあり、綺麗好きな人は気になるかもしれません。

爪とぎ

猫が爪とぎをする理由としては、爪のケアの一環としてや、ストレス発散、マーキングなど様々な理由があると考えられていますが、やめさせることは不可能です。

色々なタイプの爪とぎが売っているので、それを置いて使ってくれればいいのですが、そう上手くいかないこともあります。

おうちの壁やソファ、家具など、してほしくない場所で爪とぎをされてしまうこともあります。

鋭い爪なので、もちろん爪とぎされてしまった物はボロボロになってしまいます。

好みの爪とぎを見付けてあげ、家具を保護するグッズを揃えるなど、対策が必要になります。

爪切り

爪切りも飼い主さんの仕事です。猫が自分で爪とぎをしているので、切らなくてもいいのでは?と思うかもしれませんが、爪とぎは爪を研いでいるのでぴんぴんに尖っています。

そのままだと、飼い主さんもケガをするかもしれませんし、猫自身もカーテンやカーペットなどに引っ掛かって、爪が取れてしまったりする恐れもあります。

猫の爪は透明で血管がピンク色に見えるので、犬よりも爪切りは簡単です。猫が協力的であれば、ですが…。

爪自体もそこまで硬くないので、切りやすいかと思います。

猫は長く押さえられたりするのが大嫌いなので、押さえて行う場合は短時間でスピーディーに終わらせるようにしてあげてください。

もし大暴れしておうちで切るのが難しい場合は、動物病院でお願いすれば切ってもらえるので、無理をせず、ケガをしないようにしてくださいね。

 

誤食

猫はジャンプして高いところにも乗れますし、部屋のドアを自力で開けたりする子もいたり、家のどこにでも行くことができます。

犬なら机の上など高いところに置いているものや引き出しに入れているものは、出すことはできませんが、猫は容易に取れます。

飼い主さんが気を付けていても器用にドアを開けたり、引き出しを開けたりして、取り出してめちゃくちゃにしたり、食べたりすることがあります。

特にゴミ箱は、性格によると思いますが、すごい執念で、隠しても漁る子がたまにいます。

人間が食べ残したものを食べてしまい、体調を崩してしまったり、毒性のあるものや詰まってしまうものだと命の危険にさらされることもあります。

家をあける時間が長いおうちでは、猫にどうしても触られたくないものは、鍵付きの部屋に入れたり、ゴミ箱もロックがかかって簡単には開かないものを使うなど対策する必要があります。

 

通院編

猫を動物病院に連れていく機会は、犬ほど多くはありませんが、犬ほど簡単でもありません。

家から外に出ることがないからと、ほとんど病院に来ない子も多くいますが、少なくとも年に1回、予防注射のときは来院する必要があります。

猫を動物病院に連れていくことの何がそんなに難しいのか、みていきましょう。

 

準備物

まずは動物病院に連れていく前に準備してほしいものを紹介します。

 

・洗濯ネット

100均で売っているもので大丈夫です。

猫がすっぽり入るぐらいの、大きすぎず、小さすぎずのものを用意してください。大きすぎるとネットの中で猫が自由に動けてしまいますし、小さすぎると窮屈なので、丁度いいぐらいのサイズがベストです。

また、ネットの目が荒すぎると、爪が引っ掛かってしまう恐れもあるので、できれば細かいものがいいです。

難しければ、猫が入りさえすればどんなものでもいいので、洗濯ネットを1枚用意しておいてくださいね。

 

・バスタオル

猫を包み込めるぐらいの大きさで、分厚めのものがいいです。

大好きな家族の匂いや、自分の匂いがついているものだと落ち着けるかもしれないので、尚良いです。

薄いものだと、爪や歯が貫通してしまう恐れがあるので、ケガを防ぐためにも、できるだけ分厚いものにしてください。

 

・キャリーケース

色々なタイプのキャリーケースがあるので、迷ってしまいますよね。

1番最初に初めて買うのであれば、上の屋根部分が取り外せるタイプのものをおすすめします。

猫が怖がって出てこなくなってしまった時に外して出せるので、便利です。自転車で来院する予定の方はリュックサックタイプのものなどもあります。

以上3点です。続いて、準備物を使って、連れていく方法をみてみましょう。

 

連れていき方

飼い主さん達が思っている以上に、動物病院に連れてこられた猫はパニックになります。

おうちではおとなしくてシャーシャー言ったことがない子でも病院では別です。

キャリーの奥で固まってしまう子や、ドアを開けた途端に飛び出して壁を走り回る子、連続猫パンチで抵抗する子など様々です。

おうちではまず、病院に行くからといって、朝から特別なことはせず、いつもと同じように過ごしてください。

勘のいい子だと、飼い主さんのいつもと違う動き、様子に気付き、隠れてしまい連れてこれなくなることもあります。

また、キャリーケースをどこかにしまっている場合は、出してきたのを見ただけで逃げてしまうので注意が必要です。

病院で通院前に飲食制限をされていないのであれば、大好きなおやつなどで釣ってキャリーに入れてください。

その際、洗濯ネットに猫を入れてからキャリーに入れるようにしてください。

どんなにおうちではおとなしい子でも、病院では恐怖で豹変する恐れがあります。

この一手間で猫の脱走防止と動物病院のスタッフを守ることができます。

また、病院に着いてから怯えてキャリーの奥に張りついて出てこない子を、なんとか出そうとして、ドアから手を入れるのは危険です。

猫パンチの格好の餌食になりますし、正面から手がワッと近付いてきたら、何をされるのか分からなくて怖いのは当たり前ですよね。

この時に屋根部分が取り外せるタイプのキャリーであれば、外して上から抱え込めるので、キャリーから出すのも容易にできます。

また、洗濯ネットに入っていれば、猫パンチの威力も半減しますし、もし飛び出して逃げようとしてもネットでなかなかうまく走れません。

実際にシャーシャーで鋭い猫パンチが飛んでくるのでキャリーから出せず、飼い主さんが出そうとしてもダメで、診察台に出すだけで一苦労することもめずらしくなく、キャリーを開けた瞬間に逃げ出して、天井まで壁を登って走り回り、隙間に隠れてなかなか捕まえられなくなる子もいました。

元野良猫でまだおうちに慣れていない子が多いので、おうちに来て、すぐに病院へ連れてくるのではなく、環境や人に慣れてからに連れてきてあげてくださいね。

おうちで爪切りする場合も洗濯ネットに入れて、ネットのチャックの隙間から切りたい足を1本だけ出して切ると、暴れる子でも成功します。落ち着かないようなら軽くバスタオルなどで包んであげてくださいね。

 

通院費

病気になってしまったら、病院に行って診察、処置をしてもらう必要がありますよね。

そうなるともちろんお金がかかります。

動物病院の診察代金は病院により違い、保険に入っていなければ全額自己負担になります。

野良猫で拾った、もらったのに高い診察代を払うのは…と思い、ちょっとしたことでは病院に連れてこない方もいます。

その気持ちも分かりますが、放っておいて悪化した場合、治療費はさらに高額になってしまうでしょう。

入院や点滴、手術が必要になれば、簡単に10万円を越えることもあります。

いざという時のために保険に加入しておくのか、おうちで猫ちゃん貯金をしておくのかは、それぞれの自由ですが、何かあった時はまとまったお金が必要になることを理解し、用意できる心構えが必要ですね。

 

予防

健康であれば、滅多に病院へ来ることのない猫ですが、年に1回予防注射があります。

外に出ないし、他の猫にも会わないから必要ない!と打たない飼い主さんもいらっしゃいますが、感染力の強い病気であれば、飼い主さんが外で病原菌を付けて帰ってきて感染してしまうことも考えられます。

外で他の猫を触った、足元にすりすりされた、たったそれだけのことでおうちの子が危険にさらされてしまうかもしれません。

予防できるものはあらかじめ、予防しておいた方が安心ですよね。また、ノミやダニの予防も行っていればさらに安心です。

1年に1回、ワクチン接種費用と、状況に応じてノミダニ予防の費用が必要になることを覚えておいてください。

また、猫は病院に来る機会が少ないので、来ているときに健康診断を受けておくこともおすすめします。

滅多に病院に来ない健康な猫は、おうちで調子が悪くなるまで、体の異常に気付くことができません。

表立って調子が悪くなってしまってからでは、手遅れな場合もあります。

早く見付けていれば、対処できることもあるので、1年に1回ワクチンを打ちに来たときやお誕生日のときに、健康診断を受けることをおすすめします。

血液検査や尿検査などで、高齢猫に多い腎臓の病気や尿結石なども早期発見ができます。

まだまだ元気だし必要ない!と思うかもしれませんが、元気で健康なうちからその子の正常値を知っておくと、調子が悪くなった時にいつもとどのくらい違うのか一目で分かり、参考になります。

また、健康である証拠にもなるので、より安心して1年間暮らせるのではないでしょうか。

 

まとめ

猫と暮らす大変なことをいくつか紹介しました。

もちろん大変なこと以上に、可愛くて癒されて、良いこともたくさんあります。

ただ、可愛いからだけでは済まないこともあり、飼ってから「こんなのだと思っていなかった」「全然懐かない」「こんなにお金、手間がかかるなんて!」となってしまうことは、猫も飼い主さんも望んでいませんよね。

飼う前にきちんと猫のことを知り、生き物を飼うということに責任を持って、家族にしてあげてくださいね。